絵師を名乗っている人や、描き手を自負している同人作家はたくさんいます。
表現の場としてpixivやツイッターなどのSNSを利用して自分の作品を発信しながら、同人誌即売会での頒布を検討している人も少なくありません。
同人誌即売会は同人作家にとってハレの舞台とも言えます。
初めて同人誌即売会に出展する人はもちろん、数多くのイベントに出展している人も経験したことがある「来場者の迷惑行為」をピックアップして紹介します。
迷惑行為とまではいかなくとも、同人作家やたくさんの作家の作品を購入しようと意気込む来場者が「なんかいやだなぁ」と思う行為なども紹介します。
自分は大丈夫と思っていても、一度振り返ってみませんか?
目次
同人作家が困ったこと4選
同人誌即売会では、一人でも多くの既存ファンと交流するだけではなく、新規のお客さん(ファン)の獲得や交流がある同人作家とリアルで会えるチャンスといういろいろなめぐりあわせがあるため、同人作家側はとても意気込んでブース出展しています。
ここでは、同人作家が頒布を行っているさなかに困ったことをまとめました。
万券の支払いは困る
同人作家は、自分が頒布売り上げを予測して釣銭を準備しています。
釣銭の計算などもスムーズに済むように値段設定をしています。
こういった理由もあり、百円玉や千円札なども数えるほどしか持参していません。
それなのにも関わらず、一万円券を出して支払いをするのはマナー違反です。
ほかの売り子さんやサークル主も困る行為なので、頒布本の購入を検討している人は、1万円券をあらかじめ両替しておきましょう。
千円で支払えると気持ちよく頒布本の受け渡しができます。
細かすぎるお金も困る
頒布本の購入者さんの中には、100円硬貨を10枚で支払う、100円硬貨と50円硬貨の組み合わせで支払うといった人もいるようです。
細かいお金は、サークル主もうれしいところですが、いかんせん細かすぎるとカウントする手間が生まれます。
お互いに確認しなければいけないことなので、時間がかかってしまいます。
細かすぎる硬貨の支払いも避けましょう。
支払い硬貨の枚数が足りない場合、お客さんとのトラブルになりやすい事案になるため避けてほしい現状もあるようです。
お金を頒布本の上に置かないで
頒布本といっても、サークル主にとっては大事な子供のような存在です。
お金を頒布本の上に置くと傷や汚れがついてしまうので避けてほしいというのが本音です。
サークル主は代金を授受するためのお皿を準備しているので、そのお皿の上に置くようにしましょう。
もちろん、荷物を頒布本の上に置く行為は論外です。
値切らないで
「頒布本をすべて購入するので、安く譲ってほしい」といった趣旨の依頼をする来場者もいるようです。
頒布本は、利益を大きく出さないギリギリのラインで価格設定をしているので、値引きは避けたいのがサークル主の本音です。
また委託本の取扱いを行うサークルもあるため、まとめ売りと値引きは基本的に行わないととらえましょう。
中には、持ち帰る荷物を減らすためにイベント終了間際に頒布本を投げ売するサークルも出てくるかもしれませんが、来場者側から値引きを持ち掛けるのはマナー違反だととらえましょう。
ファン交流のマナー
同人誌即売会では、リアルなファンとの交流を楽しみにするサークル主もいます。
ファンの温度感を見て次回新作の構想を練ることもあるようです。
ここでは、サークル主や絵師との交流するときのマナーをまとめました。
絵師やサークル主は交流イベントやファン感謝祭の主役ではなく、頒布会に出展するいわば事業主さんです。
自分の作品の売り込みの場として戦いに来ているといったことも念頭に置いて接しましょう。
名乗ってくれるとうれしい
「ファンです、いつも見ています」などと声をかけてくれるのは、同人活動をしている人にとってうれしいことです。
その反面「どこで見られているのか」「何を見られているのか」不安に陥ってしまう人も少なくありません。
できるだけSNSでフォローしていることや、相互フォローをしてもらっているなどを伝えたうえで、ハンドルネームなどを名乗りましょう。
中には、ハンドルネームよりもアイコンのイラストでフォロワーさんを認識している同人作家も見られますので、アイコン付きの名刺などを持参することも一案です。
どこで絡みがあるのかヒントが欲しい
同人作家の多くは、いろいろなSNSやイラスト投稿系サイトなどで自分の作品を発表しています。
「どうも、○○です!」と親しげに名乗られても、どこで絡みがあるのかすぐに思い出せないこともあります。
同人誌即売会の場では頒布もしたい、来場者の多さに圧倒されてしまうなど、SNSのフォロワーまではなかなか気持ちが回らないこともあります。
「pixivでコメントさせてもらっています、○○です」などと伝えると、安心してやり取りができるかもしれません。
挨拶だけで居座らないでほしい
来場者は、推しのキャラクターを描く絵師と会話を楽しみたいと考えることでしょう。
絵師や作家個人の情報を引き出したいというよりも、推しキャラクター談義をしたいという人が多いのが現状です。
もちろんファンとの交流もブース出展の魅力ですが、さすがに、会話が長引いてしまうのは困りものです。
来場者が遠慮してしまい、ブースに立ち寄ってくれなくなるということも。
また、頒布本を買ってくれた上での会話ならまだしも、何も買わずキャラクター談義を持ち掛けることは、絵師や同人作家にとって失礼な行為に当たります。
差し入れのマナー
ディープなファンの方や、相互フォローをしている作家同士での交流をする場合、差し入れを持参し、手渡しすることもあります。
サークルによっては遠征出展する人も見られるため、荷物にならない差し入れがおすすめです。
サークル主の中には、差し入れの意図を逡巡してしまう人も見られます。
渡す側は気軽な気持ちでも、受け取る側は重たく感じてしまうこともあるので、ここでは差し入れのマナーについて考えていきましょう。
差し入れは頑張る必要なし
推しの作家の新作を楽しみにして来場するから、差し入れで労をねぎらいたいというファンも少なくありません。
差し入れでファンである自分の存在をアピールしたいという気持ちは誰しもが持っています。
サークル主や描き手、絵師にとって大事なのはファンとの交流です。
差し入れに力を入れるよりも、頒布本や同人グッズを迎え入れてください。
また高価な差し入れは、受け取る側が恐縮してしまうので避けましょう。
手作り品はNG
手作り品は真心がこもっているといわれていますが、受け取った側は「今のタイミングでは食べられない」「人が作ったものは苦手」「アレルギーがあるからおいそれと食べられない」という理由から、手作り品は避けてほしいと考えることがあるようです。
持ち帰ったときに、型崩れや変質していたということも、受け取った側としては避けたい結果と言えるでしょう。
手作り品は避け、コンビニなどで購入できる気軽なお菓子程度の差し入れにとどめましょう。
差し入れよりも頒布本を手に取ってほしい
差し入れを渡してくれる来場者さんの中には、わずかなお小遣いをもって遠くから同人誌即売会の会場に来たという人も見られます。
頒布本は買えないけれど、作家に会って差し入れを渡すだけで満足できる気持ちもわかります。
でも、ブースを出展している側からすれば、差し入れよりも頒布本を持ち帰ってほしいという気持ちを持っています。
差し入れと同額程度の予算で頒布本を準備しているサークルが多いので、差し入れではなく頒布品に着目してみてはいかがでしょうか。
作家の多くは、お手紙などで感想をつづってくれることもうれしいようですよ。
スケブのマナー
「スケブ」とは、来場者がブース出展者にイラストを描いてくれるように依頼することを指しています。
頒布がひと段落したサークルなどは、引き受けてくれることが多いようです。
最近では、スケブのやり取りで嫌な思いをすることもあるようで、有償でスケブを受けるサークルも増えています。
ここでは、スケブのマナーをまとめました。
描き手さんのジャンルをよく見よう
サークルを見ると、オリジナルキャラ(一次創作)、二次創作オンリーキャラ、ゲームキャラ中心などいろいろなジャンルが見られます。
明らかに少年誌系の二次創作を頒布するサークルなのに「刀剣乱舞の鬼丸国綱さんのイラストを描いてください」というように無茶なお願いをすることはNGです。
同人作家はどんなキャラクターでも描けるというものではありません。
興味がないキャラクターやジャンルも存在していることを念頭におきましょう。
頒布本やSNSで発表している頻度が多いキャラクターの範囲内でスケブを依頼するとスムーズです。
描き手さんが断ることもあります
BLや成人向けなどのジャンルを手掛ける作家に、推しカプの絡みやキャラクターの成人向け描写をスケブ依頼することは、公序良俗に反することがあるので断ることがほとんどです。
また、来場者が集中している時間帯や休憩中なども断るケースもあります。
スケブ受付OKの時間帯であれば、サークル側がアピールすることが多いので、こういったタイミングを見て依頼しましょう。
中には、ルーズリーフに描いてほしいと依頼されることもあるようです。
描き手のプライドもありますので、できるだけ色紙やスケッチブックを持参しましょう。
時間を見計らって描き手さんを再訪問しよう
スケッチブックにイラストを描くのは、ラフスケッチでも時間がかかります。
描き手の中には水彩やコピックで色を付けてくれる人も。
スケッチブックを預けて30分程度の時間が経過した後で再訪問して回収することをおすすめします。
また、スケブ対応中や頒布対応中という場合も、時間をおいて再訪問していいか確認しましょう。
スケブは必ず回収に行こう
サークル側の困ったこととして「お客さんがスケブの回収に来ない」ということが挙げられます。
預かったスケブはどうすることもできず、運営に預けるか持ち帰るしかありません。
連絡先を交換せずにスケブを預けることが一般的ですので、預けたスケブは必ず回収しましょう。
スケブのみの依頼はマナー違反
これまでは、無償でスケブ描画を請け負う作家がほとんどでしたが、スケブ依頼のみで頒布物を購入してくれないというように、損になってしまうことも見られるようになりました。
マナーを守ってくれないということも増え、500円程度の有償描画が主流になりつつあります。
今でも、無償でスケブを請け負う作家は見られますが、できれば頒布物を購入したうえで、スケブをお願いするようにしましょう。
来場者が気を付けたいマナー
普段のイベントとは空気感が全く異なるのが同人誌即売会です。
自分の趣味が多数そろっている空間だからこそ気分がアガってしまいますが、あなたのそのハイテンションがサークルやほかの来場者に迷惑をかけてしまうこともあるようです。
気を付けるべきマナーをピックアップしました。
ブースの前でたむろしない
コミケなどの大規模同人誌即売会などでは、お目当てのサークルのブースを効率よく回るために、マップやパンフとにらめっこをする来場者も少なくありません。
これはよくある行為ですが、サークルブースの前でたむろされてしまうと、ほかの来場者の通行を妨げてしまいます。
サークルによっては「営業妨害されている」と感じることもあるようなので注意しましょう。
ブースは荷物預かり所ではない
来場者の中には「ほかのサークルも回りたいので、荷物を預かってほしい」というように交流があるサークル主に荷物を簡単に預けてしまう人がいるようです。
コインロッカーの利用も厳しくなっているうえ、荷物を大量に持って会場を回る行為はほかの来場者に迷惑が掛かるので致し方ないのですが、サークルブースは荷物預かり所ではないので、別の手段で荷物を仮置きする方法をおすすめします。
中には、預かり荷物があるため、トイレ休憩も取れなくなってしまったというサークルも見られます。
同人作家も頑張っています
同人誌即売会でサークル主や作家から見たマナー違反のケースを取り上げました。
同人作家の間では、いろいろな論議が交わされている項目もありますが、描き手も来場者側も多様な考え方を持つ人が多いため、正解は皆無です。
また、ローカルルールは存在していますが、スタンダードルールがない場合も見られます。
お互いが気持ちよくイベントの時間を共有できるように、マナーを守ってサークル周りをしましょう。
同人作家も、一人でも多くの来場者とコミュニケーションをとるために頑張っています。