同人誌がグレーゾーンで作られていることは知っている人も多いでしょう。
しかし、同人誌ではなく「グッズ」であればどうなのかと悩む人もいるのではないでしょうか。
今回は「同人グッズ」の著作権について紹介していきましょう。
グッズ制作などが好きな人は覚えておかなければいけないことが多いので注目してみてください。
目次
同人グッズについて
同人グッズと言っても「どんなものがあるんだろう?」と考える人も少なくありません。
アクリルキーホルダーなどと言えば分かりやすいのではないでしょうか。
同人誌即売会などに参加すれば、同人誌だけではなくアクリルキーホルダーなどを作成しているサークルなども見受けられます。
こちらでは、同人グッズの著作権問題について見ていきましょう。
同人グッズはすべて黒になる
同人誌がグレーゾーンだから、グッズも同じだろうという考えの人は多いはずです。
しかし、結論から言えばグレーゾーンを飛び越えて「黒」になってしまうのが同人グッズです。
意外と「黒」であることを知らないまま、同人グッズを作っている人は多いようです。
分かりやすく言えば、同人誌などの二次創作はグレーゾーンで通るのですが、グッズ作成や販売はご法度という考えを持っていた方が良いでしょう。
どんなグッズ作成がNGなのか
基本的にグッズ作成はご法度として考えられていますが、以下のようなものはNGとなっています。
- 原作のイラストなどのトレース
- つままれストラップ
- 公式デザインの引用
これらが禁止されているのは「海賊版」とみなされてしまうからです。
近年のアニメや漫画は、さまざまなデザインのものとコラボレーションしています。
分かりやすく言えば、先述した「つままれストラップ」はさまざまなアニメなどで販売されています。
公式グッズの定番と言っても過言ではないほどです。
同人グッズの中に、つままれストラップを模倣したものがありましたがこれはNGです。
なぜ同人グッズがご法度なのか?
同人誌は許されているのに、なぜ同人グッズだけがご法度扱いなのかと不思議に感じる人もいるでしょう。
同人業界は利益を求めずに、内輪だけで楽しむものでした。
しかし、同人業界が成長して人気が大きくなりすぎたのも原因のひとつです。
多くの人は「内輪で楽しむ」という目的から外れていません。
ルールを守って活動している人の方が多いのも事実です。
しかし、一部の活動者が悪質な海賊版の販売で荒稼ぎをするようになったのも事実です。
そういった人たちが増えたことで、同人グッズが御法度となってしまいました。
同人グッズを作成したらすぐに処罰されるのか?
同人グッズが御法度ではありますが、すぐに処罰されるかと言われると違います。
企業や出版社はすべてのサークルを把握するほど暇ではありません。
海賊版取り締まりを重視してしまうと、コストもかかってしまいます。
そのため、ご法度とされながらも「取り締まる暇がない」というのが現状のようです。
企業や出版社が本気で取り締まろうとしたら、黒判定を受けるサークルも少なくないでしょう。
好きなアニメや漫画のグッズを作りたいと思うのは自由です。
しかし、海賊版に間違われるようなものは避けましょう。
漫画やアニメを応援するのであれば、海賊版のようなグッズを作らずに公式販売されているものを購入した方が企業や出版社のためにもなります。
マタニティマークのパロディ
定期的に話題にのぼる問題として「マタニティマーク」があります。
アニメや漫画キャラを模倣したマタニティマークもあり、パッと見ただけでは区別がつきません。
公式グッズとして勘違いをするほどの出来栄えのものもあります。
好きなアニメや漫画のマタニティマークを持ちたいという人もいるかもしれません。
しかし、マタニティマークは公共マークであり、簡単にパロディをしていいものではないのです。
同人グッズでマタニティマークをパロディとしているものは、決して少なくありません。
いわゆるカップリングキャラクターをモチーフにしたものもあります。
マタニティマークを模倣していながら、マタニティマークではないものがパロディです。
公共マークのパロディ作品は不快感を覚える人もいます。
本来「マタニティマーク」を持つべき妊婦さんたちに迷惑がかかることもあるのです。
特に、マタニティマークは厚生労働省に許可を取る必要があります。
一時期メディアでも大きく騒がれた「席ゆずります」マークもあります。
これは、同人関係なく妊婦さんのために作られたもので厚生労働省にも許可を受けています。
しかも「席ゆずります」マークは非営利であり、実費相当分で販売されています。
これがもし非営利ではなかったら、厚生労働省から許可は下りなかったかもしれません。
このように、マタニティマークだけではなく公共マークはとてもデリケートなものなのです。
作成者としては軽い気持ちかもしれませんが、その結果多くの人に不快感を与える可能性があることも覚えておきましょう。
同人活動を楽しむためにはどうするべきか?
漫画やアニメは人気が出れば出るほど、公式グッズも増えていきます。
そのため「海賊版」と言われないためにも、公式のデザインをこまめにチェックしておきましょう。
グッズ作成は避けた方が余計なトラブルは避けられますが、グッズ作成をする場合は似たデザインにならないようにしてください。
周囲の意見も取り入れよう
同人活動は二次創作だけではありません。
ハンドメイドクラフトなど、一次創作で活動をしている人もいます。
しかし、そういった人でも「二次創作ではないのか」と指摘されることがあるようです。
雑貨などを作ることが好きな人の場合、アニメの公式グッズなどを知らない可能性もあるのです。
同人誌即売会に参加する場合は、流行っているアニメの公式グッズくらいは目を通しておいた方が無用なトラブルを避けることができるかもしれません。
すべての企業で禁止されている?
すべての企業や出版社が同人グッズ作成を禁止しているわけではありません。
企業によっては「自由に作っていいですよ」と公式サイトで二次創作ガイドラインを発表しているところもあります。
二次創作ガイドラインと言っても「二次創作は認めない」という企業もあるようです。
二次創作をする際は、企業や出版社の二次創作ガイドラインが公開されていないか調べてみましょう。
すべての企業や出版社が行っているわけではありませんが、意外と多くあります。
例えば、ニトロプラスは非営利に限って創作を認めているという意見を公開しています。
どのタイトルが大丈夫なのか、しっかり記載されているので二次創作者としても分かりやすいです。
他にも、ブロッコリー株式会社も二次創作に関するガイドラインを設けています。
企業などによって異なりますが、複数の企業のガイドラインを見ることである程度の目安を見ることは可能なのではないでしょうか。
著作権に関して厳しい企業とは?
著作権に関して厳しい企業で、パッと思いうかぶのがディズニーではないでしょうか。
ウォルト・ディズニーは著作権に関しての失敗をいくつか経験していることもあり、その背景から著作権に関して厳しくなったのだろうと言われています。
さまざまな事情で著作権に厳しい企業もあるので、著作権に関して甘い考えを持つことはやめましょう。
甘く見た結果、賠償請求などをされて多額のお金を支払うことになったというケースもあります。
同人グッズを作る際に気を付けるべきルールとは?
同人グッズはご法度と言っても、作成しているサークルは多くあります。
先述したように企業によっては同人グッズ作成を認めてくれているところもあるのです。
しかし、そういった面を含めても注意すべきルールがあります。
こちらでは、どのような部分に注意するべきなのかを見ていきましょう。
ロゴは使わない
当然ながらロゴにも著作権や商標登録がされています。
アニメのキャラクターだけを使わなければいいというわけではありません。
ちなみに、商標登録がされているロゴを使うと「刑事事件」となります。
著作権侵害は民事事件なので当事者同士で解決をしますが、刑事事件となれば話は変わってきます。
「悪気はなかった」という言い訳が通用する事態ですらないのです。
ロゴ自体を使っていなくても、公式に酷似したロゴ作成をしても同じことです。
著作権にも注意しなければいけませんが、商標登録されているものは更に注意すべきことと覚えておきましょう。
企業について調べておく
先述したように、企業によっては同人グッズ作成を容認してくれているところもあります。
逆に「二次創作は一切認めない」という厳しいところがあるのも事実です。
二次創作をする前に、しっかりと企業の二次創作に対するスタイルを調べておきましょう。
リサーチを疎かにすることで「一切認められない企業の作品」で「二次創作を作っていた」ということになりかねません。
特に、ガイドラインを発表している企業の場合はルールを守らない人に厳しく接することがあります。
海賊版で荒稼ぎをした人たちが原因とはいえ、窮屈さを感じる企業があることも覚えておきましょう。
ただ、二次創作自体がグレーゾーンなので企業側が厳しいスタイルを取っていても文句は言えません。
グレーゾーンに踏み込んでいるのは、二次創作者の方だからです。
自分で描いたデザインを使おう
同人業界を見れば分かりますが、公式のイラストに似せた同人誌やグッズを見かけることも多いです。
同人誌やグッズを求める人は、公式のイラストに似ていることで「より高い公式感」を得ることができます。
パッと見ただけでは、公式グッズと同人グッズの違いすら分からないほど精度の高いものもあるのです。
ただ、公式のイラストなどに似せた時点で「海賊版」と言われても仕方がありません。
好きな公式イラストに似せたい気持ちも分かりますが「同人」ということを忘れないようにしましょう。
人がやっているから大丈夫という考えは捨てよう
何らかの注意を受けた場合「あの人はしているのに!」と考える人もいるでしょう。
確かに、そう考えたい気持ちも分からなくはありません。
しかし「あの人がしていたから赤信号でも渡っていいと思っていた」という理由が通用するでしょうか。
同人関係で考えれば理不尽に思えることも、交通ルールに置き換えると「そうじゃない」ということが分かるはずです。
人がやっているから認められている、問題ない、というわけではありません。
そういう考えの人が増え続けることで、同人業界が崩壊する可能性もあるのです。
ルールを破っている人がいたら「あの人もしているから大丈夫」と考えるのではなく、注意をできるような人になってください。
周囲に聞いてみるのもいいかもしれない
企業によって二次創作ガイドラインが異なるので、分からない場合は周囲に聞いてみましょう。
同人活動をする以上、企業のガイドラインなどを調べるのは当たり前と言っても過言ではありません。
例えば、同じジャンルで活動をしている人に聞いてみることで自分では見逃していたガイドラインに気づくことができる可能性もあるのです。
人気がありながらも、同人活動をしている人がほとんどいない場合は禁止されている可能性があります。
ジャンルの活動人数にも注目することで、企業側の二次創作に関するスタイルが見えてくる場合もあります。
同人誌はグレーゾーン、同人グッズは黒と認識を持っておきましょう。
グッズ作りをしたい人は、同じジャンルでグッズを作っている人を参考にしてみるのもいいかもしれません。
同人グッズは同人誌以上に厳しい状況であることが分かったのではないでしょうか。
分からないことは分からないままにしないようにしてください。
分からないことは聞く、というスタイルを習慣づけましょう。
ルールを守って楽しい同人活動を
同人グッズは同人誌作成業者などでも請け負っている場合があります。
分からない場合は、業者に問い合わせてみるのもいいかもしれません。
同人誌の印刷をする会社であれば、禁止企業などにも敏感な部分があります。
ただ、すべての企業について把握しているわけではないことも覚えておきましょう。
同人を楽しむためにも「ルールを守ること」に徹してください。
しっかり守ることで、暗黙の了解状態の現在を維持できるはずです。