スマホをぜひ使ってみたいけれど、毎月のプランが高すぎてなかなか手が出せないという人は珍しくありません。
そこで注目を浴びているのが「格安SIM」です。
便利なスマホをお得な料金で利用できるというのは格安SIMの持つ大きな魅力ということができるでしょう。
とはいえ、格安SIMを利用することにはメリットだけでなく、デメリットも存在しています。では、それぞれのポイントについて考察していきましょう。
格安SIMが安い理由とは
大手キャリアよりも安い料金プランが提供できる背景には「回線のレンタルをしているから」という点が挙げられます。
格安SIMを提供している会社は大手キャリアの回線及び施設を借りてサービスを提供しているため、施設の管理費や維持費などが不要なのです。
また、カスタマーサポートを行っている店舗数も大手と比較するとわずかであるため、人件費も大幅に抑えることができています。
こうして浮いた費用を顧客のプラン価格へ反映しているというわけです。
格安SIMが持つ6つのメリット
大手キャリアからMNPを利用して格安SIMへ乗り換える人が増えているのは、間違いなく魅力的なポイントがあるからです。
では、大手キャリアのSIMと比較してどんな強みやメリットがあるのかという点を細かく分析してみましょう。
月々のコストを抑えられる
格安SIMが持つ最も大きなメリットは、名前そのものが示している通り、月々の利用料金が安く抑えられるという点です。
大手キャリアでスマホを使ったプランを申し込む場合、無料通話やデータ通信などを組み合わせたコミコミプランで7,000円から8,000円前後が一般的とされています。
高速データ通信の容量を増やすと、毎月の使用料が10,000円を超えるというケースも珍しくありません。
一方、格安SIMを利用している人の平均的な料金は2,000円から3,000円前後です。
無料通話を24時間制限なしにしたり、データ通信の容量を最大まで大きくしたりした場合でも、5,000円を超えてしまうというケースはほぼ皆無と言ってよいでしょう。
「メールも通話もLINEで済ませているから通話プランは必要ない」という人になると、月々1,000円から1,500円前後の支払いで完結しているということもあります。
大手キャリアと比較して、1か月あたり5,000円ないし6,000円、年間60,000円を超えるコストカットができるというのは大きなメリットということができるでしょう。
スマホの購入費用を抑えられる
格安SIMでは大手家電量販店や海外の携帯電話メーカーと提携することで、スマホ本体を非常に安く提供することができています。
本体価格10,000円前後で販売しているというのは珍しくありません。
契約促進のキャンペーンになると、国内メーカーのスマホを無料で提供しているというケースも散見されています。
大手キャリアでは新規契約をする際、基本的にスマホ端末を購入する必要があり、最新機種になると本体価格だけで10万円を超えるものもあります。
この購入費用が月々の利用料金に上乗せされ、2年ないし3年の契約期間中ずっと払い続ける必要があるわけです。
格安SIMの場合、契約時にスマホ本体を必ず購入する必要があるわけではありません。
ネットショップあるいは海外で安く購入したSIMフリーのスマホを持ち込んで、購入したSIMに挿して利用するということも可能です。
このように、スマホの購入費用を安く抑える選択肢がいくつもあるというのは大きな魅力と言えるでしょう。
プランの設定方法が多彩
格安SIMをスマホで使うために申し込みを行う際は、大手キャリアの場合と同様、数あるプランの中から1つを選択する必要があります。
ただし、大手キャリアと比較すると格安SIMはたいていプランのバリエーションが豊富なのです。
大手キャリアでは無料通話とデータ通信がぜんぶ組み合わされた3つないし4つという限られたプランの中からチョイスする必要があります。
一方、格安SIMでは1か月あたりに必要な無料通話の時間や、データ通信量の上限などを細かく定めることが可能です。
特に、データ通信に関しては、1GB単位で設定できるケースもあります。
「ちょっとデータ量が足りないな」と思えば、翌月から通信量を増やすことも可能です。
ユーザー視線に立った高いフレキシビリティが格安SIMの強みと言えるでしょう。
契約期間に関するルールが親切
契約期間に関するルールが比較的優しいという点も格安SIMの魅力です。
大手キャリアの場合、契約がスタートするとそこから2年は基本的に解約できないというルールがあります。
その期間内に解約をしようとすると、10,000円前後の違約金を支払わなければなりません。
また、契約は自動更新されるため、無料の解約期間が気付かない間に終わっていて、違約金の支払いを免れるためにはさらに2年間待たなければいけないというケースもあります。
格安SIMの場合、スマホの本体を購入していなければいつでも解約が可能というケースが多くみられています。
また、最低契約期間が2年ではなく半年あるいは3か月ごとという設定にしている格安SIMも珍しくありません。
そのため、ユーザーは短期間特定の格安SIMを利用してみて、自分の生活圏でしっかりと通信ができるか、料金プランに満足できるかといった点を評価したうえで継続使用するかを決めることが可能なのです。
オリジナルサービスが豊富にある
格安SIMは競合する会社が非常に多いため、各社ともオリジナルのサービスを用意することで差別化を図っています。
そのため、ユーザーは自分にメリットの多いサービスをどこの会社が提供しているかという点を比較考量したうえで、気に入った格安SIMをチョイスすることができるというわけです。
便利なサービスとして注目されているのはSNS使い放題です。
LINEやTwitterなどを使ってもデータ通信としてはカウントされないため、契約しているデータ通信量を消費しないというメリットがあります。
SNSのメッセージや通話機能をすべて無料で利用できるというのは大きな魅力でしょう。
このほかに、YouTubeをはじめとする動画サイトを無制限で閲覧できるサービスや、新作発表された映画を毎月1本無料で視聴できるサービスなども好評です。
大手キャリアの場合、SNSや動画閲覧を無制限で行いたいのであれば、何らかのオプションプランに加入する必要があり、当然その分の費用も発生します。
こうした理由から、格安SIMへ切り替える人が多くなっているのです。
サービス提供エリアが大手キャリアと同じ
格安SIMと聞くと、「通話やデータ通信ができる範囲が狭いのでは」という懸念を抱く人が多いでしょう。
とはいえ、格安SIMは先述の通り、大手キャリアの通信施設を間借りして運営していますから、サービス提供エリアは大手キャリアが展開しているエリアとまったく同じなのです。
ですから、「格安SIMに切り替えたら全然電波が入らなくなった」という心配はまったく必要ありません。
格安SIMが持つ10のデメリット
格安SIMは魅力な特徴を数多く持っている一方で、大手キャリアと比較して劣っているという部分も当然あります。
格安SIMへのMNPを考えている人は、以下に取り上げる10のデメリットについてもきちんと把握したうえで判断を下すようにしましょう。
通信の速度が安定しない
格安SIMのサービスは大手キャリアが提供している通信帯の一部を借り受けて実施しているものです。
つまり、通信容量に関しては大手キャリアに劣っているため、契約者の多くが回線を利用する時間帯になると、通信速度が下がってしまうということが起こります。
朝の通勤時間帯や、夕方から夜にかけての時間帯になるとそのデメリットが顕著に見られるのです。
格安SIMの広告に載せられている通信速度を見ると、大手キャリアとほぼ変わらない数値が記載されているでしょう。
とはいえ、そうしたデータはあくまで理論値であり、大手キャリアのように常時安定した高速通信を実現するというのは難しいということを銘記しておきましょう。
サポート体制がまだ充実してない
大手キャリアはカスタマーサポートを充実させるため非常に多くの実店舗を展開しています。
これと比較すると、格安SIMは実店舗によるカスタマーサポートが非常に弱いというのが現状です。
Y!mobileやUQモバイルのように、大手キャリアのショップ内や大型ショッピングモールなどで実店舗を展開しているケースもあります。
とはいえ、大半の格安SIMはコールセンターや公式サイトを通してのサポートに限られており、大手キャリアほど充実してはいません。
SIMそのものの販売は大手家電量販店などを中心として広く展開されています。
とはいえ、そうした販売店に在籍している格安SIMの担当者も故障や通信障害などのサポートを行っているわけではないため、トラブルが発生した時にスピーディーな対応を受けるということはなかなか難しいのです。
最新モデルのiPhoneが購入できない
大手キャリアでは最新のiPhoneが発売されると同時に購入することができます。
キャッシュバックや割引キャンペーンなど、新型モデルへの機種変更を促すイベントが数多く実施されるほどです。
一方、格安SIMのショップでは最新型のiPhoneを取り扱っているというケースはほとんど見受けられません。
これはiPhoneフリークにとって残念なポイントと言えるでしょう。
格安SIMの中には、1世代ないし2世代前のiPhoneをお得な価格で販売しているケースがあります。
「iPhoneであれば世代にはこだわらない」という人であれば、こちらを選択するのも良いでしょう。
また、どうしても新型のiPhoneを格安SIMで利用したいという人は、費用は高くなるものの、Apple ShopなどでSIMフリーのiPhoneを購入して、格安SIMを挿して使うという方法が最善です。
24時間かけ放題プランがないケースあり
大手キャリアではいずれも基本料金にプラスして少しのオプション料金を支払うことで、24時間かけ放題にできるプランがあります。
このオプションに申し込むとどれだけ通話をしてもトータルの料金は変動しません。
そのため、営業職など仕事で頻繁に通話をする人たちからは非常に人気があります。
格安SIMでは、10分未満であればかけ放題というオプションが多くみられる一方で、24時間かけ放題というオプションを用意していないケースが散見されています。
取引先との電話をしている際に「10分経過しそうなのでいったん切ります」とはなかなか言いづらいでしょう。
これは格安SIMのウィークポイントということができます。
キャリアのメールアドレスが使用不可
大手キャリアからMNPで格安SIMへの切り替えを行うと、それまで使っていたメールアドレスは使用不可となってしまいます。
また、格安SIM専用のメールアドレスが設定されるということもありません。
ですから、Gmailなどのフリーアドレスを別途取得して、個人用のアドレスとして設定する必要があるのです。
これまで利用していたキャリアのアドレス変更を通知するのはなかなか面倒な作業で時間がかかるということも覚えておきましょう。
キャリアの無線LANが使用不可
大手キャリアは契約者向けとしてWi-Fiスポットを用意しています。
ファミリーレストランや家電量販店、高速のサービスエリアなどで目にすることもあるでしょう。
MNPを利用して格安SIMへ切り替えを行うと、これらのWi-Fiスポットも自動的に利用できなくなってしまいます。
ですから、外出先でちょっと公衆Wi-Fiを利用させてもらおうということはできなくなるということを覚えておきましょう。
初期設定を自分で行う必要あり
格安SIMの多くはインターネットの公式サイトを介して申し込みを行い、後日SIMが郵送されてくるというプロセスになっています。
そのため、誰とも顔を合わせる必要がないというメリットがある一方で、初期設定はすべて申込者本人が行わなければなりません。
大手キャリアの場合、ショップでスマホの機種を選べばそれ以外の手続きはすべて担当者が行ってくれることを考えると、これはデメリットということができるでしょう。
家電量販店などでSIMの販売を行っているケースもあるものの、担当者がサポートしてくれるのはSIMに関する説明と販売までとなっています。
ネットの設定などに関してアドバイスが必要な場合には、申込者が直接カスタマーサポートへ連絡を取る必要があるため、面倒なプロセスが多いと感じるユーザーは少なくありません。
格安スマホが確実に対応しているとは限らない
格安SIMが直接販売を手掛けるスマホであれば、確実にSIMと対応しています。
一方、申込者がネットショップや海外などで買い付けたスマホを利用したいと思う場合、格安SIMと対応しておらず、通話や通信ができないというケースがあるのです。
格安SIMの公式サイトには大抵対応しているスマホの一覧表が準備されているものの、そのほとんどは国産のスマホに関しての情報であり、中国や韓国、ヨーロッパ製のスマホに関しては完全に網羅されているわけではありません。
そのため、せっかくSIMを購入したのに、最終的には使うことができなかったというケースが散見されています。
大手キャリアのショップでは、キャリアが販売を手掛ける端末で契約をするというのがオーソドックスなスタイルであり、SIMフリーのスマホを持ち込んで契約をするという手続きは基本的に受け付けていません。
そのため、SIMを挿しても使えないというトラブルはほぼ発生しないわけです。
決済方法が限られている
格安SIMの決済方法は「クレジットカード決済のみ」となっています。
金融機関の口座から直接引き落とし、あるいはコンビニでの現金払いなどには対応していません。
大手キャリアであれば幅広い決済方法を活用できるということを考えると、このプロセスを煩わしいと感じる人もいます。
クレジットカードを持たない人が格安SIMを利用するためには、必ずクレジットカードを手に入れる必要があるわけです。
これまでにローン支払いの遅延による返済事故を起こしている人や、何らかの理由によって自己破産などを経験している人は格安SIMを購入することがほぼ不可能ということになります。
MNSに時間がかかるケースあり
MNPによる切り替え手続きをする際には、解約から新規契約までの間、スマホが利用できなくなります。
大手キャリアから大手キャリアへ切り替えを行う場合には、店舗間同士の移動時間のみとなるため、非常に短時間です。
一方、格安SIMの場合は、インターネット上で手続きを行う必要があり、処理の完了までは数日を要することもあります。
そのため、「1日でも電話が不通になるのは困る」という人はなかなか格安SIMへ思い切って切り替えるということができないわけです。
iPhoneで格安SIMを使うときの注意点3つ
数あるスマホの中でもiPhoneは世代を問わず非常に高い人気を誇っています。
そのため、大手キャリアから格安SIMへの切り替えを検討している人の中には、「iPhoneは継続して使いたい」と希望するケースが非常に多いのです。
では、iPhoneで格安SIMを使う場合に覚えておくべき注意点をご紹介しましょう。
キャリア限定のiPhoneがある
大手キャリアから販売されているiPhoneの場合、そのキャリアの回線でしか利用できないようにロックがかけられています。
そのため、異なるキャリアの回線を使用している格安SIMではきちんと動作しません。
ですから、docomoならdocomo対応、softbankならsoftbank対応と明記された格安SIMを選ぶ必要があるのです。
契約したい格安SIMが現在のキャリアと対応していない場合、iPhoneのSIMロックを解除する必要があります。
解除の手続きは各公式サイト、もしくはキャリアショップで申し込みが可能です。
ただし、解除手数料が発生する可能性もあるので注意しておきましょう。
格安SIMへの切り替えに合わせてiPhoneも買い替えようと思っているのであれば、キャリアで購入するよりもApple StoreでSIMフリーの端末を購入する方が実際的です。
SIMフリーであれば、国内だけでなく海外でも現地のSIMを挿すだけですぐに使うことができます。
また、端末代金そのものはやや割高にはなってしまうものの、いずれ機種変更の時にiPhoneを売るということを考えると、高値販売が期待できるSIMフリー版の方がメリットは大きいと言えるでしょう。
SIMのタイプに注意
iPhone向けのSIMにはminiやnanoなど複数のサイズが存在しています。
サイズが異なるSIMではそもそも端末へ挿すことができません。
ですから、申込者は自分が利用しているiPhoneのモデルとSIMのサイズを事前に確認しておき、申込を行う必要があります。
格安SIMの公式サイトに対応表が準備されているので、それを活用してチョイスしましょう。
iPhoneの性能を十分に引き出せない可能性あり
iPhoneそのものの持つスペックが高いことに疑いの余地はありません。
いずれの端末も4GLTEの通信に準拠しており、スピーディーな通信が可能です。
一方、格安SIMの通信速度は非常に不安定で、時間帯によってはかなり遅く感じられることもあり得ます。
そのため、iPhoneの性能を十分に活用できていないと感じてしまう可能性があるわけです。
iPhoneのバージョンによっては、大手キャリアから格安SIMへ切り替えることで、テザリング機能が使用できなくなるという事例も報告されています。
タブレット端末などを所有していてiPhoneをポケットWi-Fi代わりに利用している人にとって、テザリング機能が使えなくなるというのはかなりのデメリットと言えるでしょう。
テザリングアプリを導入することで解決できる可能性もあるものの、余計なプロセスが増えてしまうことに変わりはありません。
auの回線を利用してサービスを提供している格安SIMは、現時点でテザリング機能そのものにまったく対応していません。
ですから、SIMフリーのiPhoneで絶対にテザリングをしたいというケースでは、docomoもしくはsoftbankの回線を利用した格安SIMがおすすめです。
格安SIMの導入に伴うメリットとデメリットのバランスを見よう
格安SIMを導入することにはコスト削減をはじめとする数多くの魅力的なメリットがあります。
一方で、大手キャリアと比較して劣っている部分も存在するということを認めるのは大切です。
格安SIMへの切り替えを検討しているのであれば、メリットよりもデメリットに注目して、それが大きなストレスの原因とならないかどうかを正直に吟味しましょう。
特に、ビジネスユースのため通話機能を頻繁に利用する、あるいは安定した高速データ通信が常時必要という人は注意が必要です。
iPhoneと格安SIMの組み合わせに関しても、「機能が使えること」と「快適に動作すること」には大きな隔たりがあります。
ですから、あわててMNPをしてしまうよりも、実際に利用している人の口コミや評判などを確認して、納得したうえで手続きをすることをおすすめします。
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